第37章 想い溢れる恋《8》家康side
「やはりわかってないな。」
「!?」
呆れた顔で俺を見る信長様。
「陽菜は風邪を治したいが治したくない」
「は?」
治したいが治したくない?
矛盾してるんだけど……
「これでわからなければ、貴様は大馬鹿者だ。」
「はぁ?」
なんでここまで言われないといけないんだよ。
「あぁ。忘れていた。貴様、早く陽菜の風邪を治せ。」
それだけ言うと信長様は羽織を翻して歩いていった。
「……………無茶苦茶なんだけど……」
陽菜は風邪を治したいけど治したくない?
信長様は陽菜の風邪を早く治せ。と言う。
なんで、これが咳が止まらないのと関係するんだ?
何度考えても信長様の言ってることが矛盾しすぎて理解できない。
答えが解らぬまま、家康は自分の部屋に向かった。