第34章 想い溢れる恋《5》
「ゴホ、ゴホ…違うょ…だまたま…だよ?」
今の話しだと、どこが家康のせいなのかわからない。
「…………いや…」
家康に掴まれている手をギュッと握られ
「人質時代は、ずっと、針のむしろで暮らしてるみたいで、モノ同然に扱われて、ひたすら耐えていた。いつか必ず後悔させてやるって思いながら……」
「(家康……)」
その時の記憶を思い出してるのか、家康の表情が激しく歪み、私の心も痛みだす
「あいつらにされた仕打は忘れたことはなかった。
今川家が滅びて自由になった日、二度と誰にも屈しないって誓った。身も心も強くなるために、厳しい鍛練も怠らずしてた。なのに……」
「昨日の朝、光秀さんに今川家の生き残りが、安土に潜んでいる可能性があるって聞いて…冷静でいれなくなってた。
だから陽菜に当たってしまった…」
「本当にごめん……」