第32章 想い溢れる恋《3》
「薬飲んだら、休んでなよ。じゃないと治らない」
「…………」
寝たら、家康は出ていっちゃうよね………
ちゃんとお礼と謝罪したいし…
でも、この声じゃ、聞き取りにくいし……
それに家康は昨日のことやっぱり怒ってるのかな……
いろいろ考えてると、だんだん顔が下に向いていく。
「陽菜?」
横になろうとせず、顔を俯けた私の様子を不思議に思ったのか、家康が優しく声をかけてきた。
「(昨日突き放されたのに、優しく声をかけてくれるのは……やっぱり仕事なのかな……)」
ここにいてほしい
お礼を言いたい
謝りたい
距離はおかれたくない
優しくされたい
でも仕事としてじゃない
嫌われたくない
体調を崩しているからか、考えがマイナス思考になる
だからか、いろんな気持ちがごちゃ混ぜになり、
気持ちがいっぱいいっぱいになったからか
とうとう目に涙が溜りはじめ、
目を閉じた瞬間に、ポロっと涙がこぼれた。