第32章 想い溢れる恋《3》
「陽菜、足見せて。」
家康に言われて、怪我した方の足を出す。
「……血は止まってるけど、傷口が塞がるまで、歩きまわらないでね。まぁ、熱もあるから、出来ないと思うけど…」
家康は言いながら手当てをしてくれる。
「(初めて家康に手当てしてもらった……)」
一度、家康が手当てしている姿は見たことがあるけど、そのときは、学ぶ気持ちが強くて、家康の手元しか見てなかった。
実際に手当てをされると、優しさや心配している気持ちが、手から伝わってくる。
それに
「(手当てしてる姿、格好良い……それに、優しい顔してる…)」
手当てされ、初めて知った顔に
「(ドキドキする……)」
嬉しい、恥ずかしい、緊張、焦り、
いろんな意味でドキドキしている。
「終わったよ。」
「…ぁりがど…」
「喋ると余計喉痛くなるんじゃない?無理して喋らなくていいから。」
こくん。
「横になる前に、熱と脈測らせて。」
こくん。
家康は、脈をとりながら、額に手をあてる
「熱かなり高いね。脈も早いし。他に喉以外につらいところは?」
「鼻がづまっでる…」
「それは、熱が下がったら、だいぶ落ち着くから。今は解熱剤と喉の炎症に効く薬出しとく。」
家康は飲みやすいようにと、薬を白湯に混ぜ、はい。と手渡してきた。
とてつもなく苦そうな色のそれを、私は頑張って飲んだ
想像した通り、とてつもなく苦かった。