第30章 想い溢れる恋《1》
「(家康……ごめんね…)」
一人になると、どうしても家康のことを考えてしまう。
城に戻って、部屋に運んでもらってから、家康には会ってない。
薬も、家康本人ではなく、女中さんが持ってきてくれた。
呆れられたかな…
嫌われたかな…
面倒だから会いたくないかな…
それでも、私は会いたい……
「(お城に着いたら手当てする。って言ってたのにな………)」
昨日のことで、やらないといけないことが出来たのかもしれない……
それが終わったら、来てくれるかな……
「(面と向かって謝りたい…。)」
本当にごめんなさい。
本人に伝えられない謝罪を、思い浮かべた家康に謝罪した。