第30章 想い溢れる恋《1》
「陽菜、入るよ。」
襖が開いて、前のときみたいに、お姉ちゃん、秀吉さん、政宗が部屋に入ってきた。
「具合はどうだ?」
「ゴホっ…あんばり……」
「ひっでぇ声だな。」
「おっどいで……ゴホ…」
「ほら。お粥作ってきたぞ。食えるか?」
「ずごし、たべる…」
「ん。わかった。………ほらよ」
お椀に、お粥を入れてくれ、渡してくれた
「(いただきます)」
声を出すのがしんどいから、手だけは合わせて、心のなかで言い、ひと口、口に入れる
「…っ!!いだっ!」
「!?大丈夫か!?」
ほら、水!と政宗が渡してくれたのを、急いで飲む
「ありがど……」
「だいぶ喉もやられてるな。あとで家康に言っとくか。」
「そうだな。陽菜、冷ましてから食べろ。」
コクコクと頷き、ふぅふぅと念入りに息をかけてから、食べる
「(だいぶマシだ…)」
お椀に入った分だけを食べ、薬を飲んで、横になる
「あんまり長居するとしんどいだろうから、そろそろ行くな。」
「ゆっくり休めよ。」
秀吉さんと政宗が、膳を下げ部屋を出る。
「私も、お水替えてくるね。」
コクンと頷き、お姉ちゃんも部屋を出た。