第27章 近くて遠い恋《13》家康side
「…………何かって何です」
「知るか。ただ、俺がお前の御殿から出ていくとき、陽菜は普段通りだったからな。俺が出ていった後も、陽菜は普段通りだったのかよ。」
「…それが陽菜を捜すのに、どう関係するんですか?」
「俺が帰るとき、まだ雨は降ってなかったが、降りそうだったからな。
城に帰る途中で拐われたなら、とっくに文とかが届いてるはずだ。
それがないなら、まだ拐われてないか、どっかにいる可能性が高い。この雨の中寄り道するほど陽菜はバカじゃないだろ。
だけど、陽菜が雨にも気づかない状態だったら…どうだ…?」
「……それは…」
「政宗様!家康様!」
俺が口を開こうとしたとき、政宗さんの家臣が駆けよってきた。
それと同時に政宗さんは、俺の胸倉から手を離す。
「どうした?」
「これが森の入口に!」
家臣が手に持っていたのは片方の草履
「陽菜様の物かはわかりませんが、城下を隈なく捜しても、こういったものは落ちておりませんでしたから、陽菜様の可能性もあるのでは…」
「拐われそうになって森の方へ逃げたってことかもな。家康行くぞ!」
「はい。」
政宗さんと森の方へ走り出す