第26章 近くて遠い恋《12》
「っ!痛っ!」
落ちていた木の枝で、足の裏を切ってしまった。
かなり尖っていたようで、思いのほか血も出ている。
こんなときにっ!
手当てしたいけど、手拭いとかも持ってないし…
それにここから逃げないと………
まだ、あの男達はここにいることには気づいてないから、遠くに逃げてから、なんとかしよう。
気づかれないように、そっと逃げた。
陽菜が逃げてから10分ほど、
「……おい、見てみろ。」
一人の男が、先ほどまで、陽菜がいてたところを指差し
「雨で滲んでるが……血だな」
陽菜の足を切った枝を拾い
「近いな。このあたり、探すぞ」
ニヤリと笑った