第26章 近くて遠い恋《12》
ザー………………
「……はぁ…………はぁ……はぁ……」
パシャパシャ…
どれぐらい走ったんだろ……
城下を走っていたが、いつのまにか森に迷い混んでいた。
体力の限界がきて、大きな木の幹に背を預ける
足がガクガクして力が入らず、そのままズルズルと座り込む
履いていた草履も、途中どこかで無くしていた。
「……はぁ、はぁ……ここまで、来たら、はぁ…大丈夫、かな…」
乱れた呼吸を整えようとした。
なんで、こんなことに………
あんなとこでボーっとしてないで、真っ直ぐ帰れば良かった……
後悔していると……
「おいっ!いたか!?」
「っ!?」
嘘………もう、追いつかれたの!?
「いや、こっちにはいねぇ。」
「あの女、家康の御殿から出てきたんだ。身なりが女中じゃねぇから、確実に家康の女だろう。家康を誘き寄せる餌になる。必ず見つけだすぞ!」
「「「おう!」」」
あの柄の悪い男達、なんで家康のこと知ってるの!?
なんかわからないけど、絶対捕まっちゃ駄目だ!
急いで逃げようと立ち上がろうとした時、
ザッ…!