第3章 動き始めた恋心〈1〉
家康さんに薬のことを教えてもらう
「へ?なんで家康さんに…」
「(常に忙しそうだし、武将だから戦の準備とかもあるんじゃ…)」
「治療の際、家康が作った薬を使うことが多いからだ。よく効くから治りも早い。それに他の救護兵から学ぶより、作った本人に直接学んだ方が手っ取り早いだろ」
「それはそうかもしれませんが、家康さんは不服なのでは…」
チラッと家康さんの方を見ると、話が通っているみたいで、眉間にかなり皺がよっている
「不服だろうがなんだろうが、俺の命は絶対だ。わかったら今すぐ学んでこい。これで話は終いだ」
そう言って信長様は広間から出て行った
「………」
「…陽菜……」
話の展開が早すぎて、頭で理解していても気持ちが付いていけず、放心している私にお姉ちゃんが心配そうに声をかけた
「陽菜、大丈夫か?」
「……秀吉さん…」
秀吉さんも心配そうに声をかける
「不安かもしれないが、家康にしっかり教わってたら大丈夫だから心配するな!」
「大丈夫かは、あんたのやる気次第だけどね」
家康さんが不満全開で声をかけてきた
「こら、家康。優しく教えてやれよ。陽菜は初めてのことだらけなんだからな」
「なんで俺が優しくしないとダメなんですか。ただでさえ忙しいのに、薬学を教えろなんて……面倒でしかありません」
う……確かに面倒はかけちゃうけど、そんな言い方しなくても…
「だいたい、こんな弱そうな女に、戦で怪我したやつの手当てなんでできるんですか。ちょっとした怪我の手当てとはわけが違うのに、今だって真っ青な顔して震えてるし、使い物になりません」
カチン!
「おい、家康…」
「優しく教えなくて大丈夫です。」
「「は?」」
私の発言に少し驚いたのか、秀吉さんと家康さんが私の方を見る。
「そこまで言うなら、家康さんのやり方で教わります。教わったうえで、使い物になるかどうかは、ご自分の目で確かめてください」
少し睨みながら言う。
「…わかった…言っとくけど俺は秀吉さんみたいに優しくしないよ。かなり厳しく教えるから」
「…わかりました。お役にたてるように、しっかり学ばせていただきます」
「(絶対、認めてもらおう)」
こうして私は、家康さんに薬学を教えてもらうことになった。