第4章 動き始めた恋心〈2〉
さっそく家康さんから薬学を教わっているのだが……
「止血と患部の消毒をしていたら、そこまで傷口がひどくなることは避けられるから、そこは丁寧にしっかりやってね。」
「はい」
「包帯の巻き方とかはわかってる?」
「はい」
「そう。ならそれを教えるのは省く。あと、薬の効能は全部覚えてね」
「…はい」
「…言っとくけど、使われてる薬草とその薬草自体の効能とかも覚えてよ。」
「え?薬草も!?」
「あたり前でしょ。多めに薬を用意しとくとはいえ、何が起こるかわからないから。もし途中で無くなったら薬草探して煎じる必要もあるから、しっかり覚えてきてよ。」
「…………わかりました…」
かなりそっけない。
しかも
「は?薬草の説明?そんなのひとつひとつ教えてる時間なんかない。説明が書いてる本渡すから、それ読んで覚えて。大事なものだから丁寧に扱ってよ。」
言い方もキツい。
さらに
「ちゃんと覚えてるかどうか、今度確認するから」
言っていたとおり、厳しい。
でも
「は?この薬の用途?これは……」
私がわからないところは、私が納得するまで、きちんと教えてくれる。
しかも、その説明がわかりやすい。
わかりやすく教えてくれるということは、かなり勉強している証拠だし、大事な本も貸してくれるし、根は優しい人なんだろうな。と思った。
そういえば三成くんが
『家康様は、学問や武術など多様な分野に秀でてますし、それだけでなく、薬の試作・調合もご自身でされる素晴らしい方です。』
って言ってたな。
きっと、かなりの努力家なんだろうな。
最初は冷たい人かと思っていたけど、今日少し接しただけで、私のなかの家康さんの印象は少し変わっていた。