第25章 近くて遠い恋《11》家康side
「え?いいの?」
いいに決まってる
「…俺はいいけど……。陽菜が帰りたいなら、城まで送るけど…」
居てほしいけど、もし帰るなら、今、渡すべきかな……
「ううん!あの、じゃあ教えてください。」
軽く頭を下げる
「(……良かった…)」
気づかれないぐらいの軽い息をはく
勉強が終わったら、陽菜に渡そう。
「わかった。じゃあそこ座って」
文机の前を指さし、文机を挟んでお互いに座る
文机の上に置かれた包みは、戦の時に着てた羽織の修繕が終わったから持って行くよう香菜に頼まれたらしい
香菜にもお礼を言っておいてほしいことを伝え、
包みを文机から降ろし、勉強を始めようとしたとき
「家康、入るぞーーー」
返事も聞かずに政宗さんが襖を開けた。