第25章 近くて遠い恋《11》家康side
御殿に着くと、女中が出迎え
「家康様、お帰りなさいませ。陽菜様をお部屋に通しております。」
「わかった。陽菜、どれぐらい待ってた?」
「一刻ほどです。何度かお待ちしている間、お茶を運ばせていただき、もう少しお待ちいただくことを伝えておりました。」
「わかった。」
「(一刻か…だいぶ待たせたな……)」
かなり待たせていたのが、申し訳なくなり、急いで自室までの廊下を早足で歩き、襖を開く
スッ……
「!?」
襖を開くと、驚いた顔をした陽菜が立っていた。
「陽菜…ごめん。待たせて……」
「あ…ううん!えと…おかえりなさい…」
「…………ただいま…」
バツが悪そうに、顔を逸らして、謝罪と挨拶をした
すると陽菜が、俺が部屋に入れるようにと体を横にずらした。
そういえば、なんで襖の前に立って……?
「……どっか行くの?」
厠?それか待ちくたびれて帰ろうとした?
「あ…お城に帰ろうかな。と思ってたの…
女中さんからお城に行ってる。って言われて、待ってたんだけど……家康が居ないのに、長居するのも失礼かなと思ったから…」
後者だった…
そりゃ約束してたのに、一刻も待たされたら帰ろうとするよな…
だが、家康は、ほんの少しでも一緒に居たかったので
「………陽菜の時間が大丈夫なら、少しでも教えるけど…」
こんな言い方しか出来ないが、陽菜に聞いてみた