第25章 近くて遠い恋《11》家康side
朝、光秀さんに呼ばれ登城し、城の中で宛がわれてる光秀さんの部屋に行く。
「野党…?」
「あぁ。老若男女関係なく襲っているらしい。」
「…それをなんで俺一人に話すんです?秀吉さん達も召集して軍議で議題にあげればいいんじゃ…」
「もちろん、軍議でも話す。信長様の耳にも入れておきたいことだからな。」
「信長様の耳にも入れておきたいなら尚更……」
「その野党共、どうやら今川家の生き残りの可能性がある」
「!?」
「まだ、確実に今川家のものだと言いきれないがな。」
「…どういうことですか?」
「たまたま俺の家臣が、女を襲っている野党を見つけてな。捕らえようとしたら、すぐに逃げたんだが、そのときに『信長と家康の腰巾着が!』と言い捨てたそうだ」
「………」
「信長様とお前各々に恨みをもってる奴がいるのはまだわかるが、その野党は信長様と家康に対していい逃げしている。
ここまで恨んでいる奴らは、今川家のものしか思い浮かばなくてな。いきなり軍議で耳にするより、前もってお前の耳に入れておこうと思った。明日の夕刻頃、信長様がお戻りになる予定だ。戻り次第、このことは信長様に伝える」
「…わかりました。」