第24章 近くて遠い恋《10》
「あ、ごめん。」
すぐ家康の方を見ると
え……
かなり冷たい目をしていた
「あの、いえや…」
「そんなに心配なら行ってこれば」
「え…?」
「それに、政宗さんの言うとおり、当分戦はないし、陽菜が急いで学ぶことなんてない。」
「で、でも!前のとき、足手まといだったし……」
家康直々に学んだとはいえ、やっぱり勉強が足りないから、わからないことだらけで、責任者の方にずっと指示を貰っていたし……
「そんなことないんじゃない。救護兵達もあんたがいてかなり助かったって言ってたし、軽い怪我なら任せてた。って聞いてたから」
「それは、ほんとに軽い怪我で…」
「悪いけど、今日は帰ってくれない。急ぎの仕事思い出したから」
そう言うと、家康は文机の上に置いてあった文を手にとり目を通しはじめた。
私の方には一切見向きもせず、ただただ、じっと文に目を向けていた。
「……時間作って、くれたのに、、ごめん、な、さい……」
家康の方を見る勇気がなく、顔を俯かせ、震えた声で謝罪し、急いで立ちあがり、家康の部屋を出た。
御殿からもすぐに出ないといけないような気がして、廊下を小走りで走り、急いで御殿から出た。
家康が帰ってすぐは普通だったと思う…
なんで急に………
何か気にさわることを知らないうちに言ったんだろうか……
家康の御殿から少し離れたところで立ち止まる。
俯いていると、足元にポトンと水が落ちた。
その後、すぐに雨も降りだし
足元に落ちたのは、雨なのか自分の涙なのか……
わからなかった