第24章 近くて遠い恋《10》
「なんだ。陽菜も居てたのか?」
「あ、うん。薬学の勉強を教わりに…」
「薬学?もう戦終わったのにか?当分は戦もねぇぞ。」
「あ、えと、それは……」
家康と少しでもいたいからなんだけど…
「政宗さん、返事も聞かずに勝手に開けないでください。それより、何の用ですか?」
「あぁ、家臣が稽古中に怪我してよ。薬貰いにきた。」
「どんな怪我ですか?」
「打ち身だ。」
聞いてると、政宗に3人まとめて稽古をつけていて、一人が政宗の攻撃を避けきれず、木刀が脇腹に当たり、その衝撃で後ろによろめいたら、後ろからあとの二人の木刀も肩に当たってしまったみたい。
「その人、大丈夫なの?」
「大したことないが、一応念のためだ。」
気にするな。と政宗は私の頭を撫でた
「打ち身だったら、これ塗っといたら大丈夫なんで…」
家康は、棚のところに置いてある小箱から薬を出し、それを政宗に渡す
「悪いな。助かった」
「いえ…」
「あ、政宗。私、手当てしに行こうか?」
「「は?」」
「あ、脇腹や肩だったら、一人でしにくいし…。女中さん達も忙しくしてるから、私だったら時間もあるし……」
家康との勉強の時間は楽しみにしてたけど、怪我人はやっぱり放っておけないし……
「いや。その家臣と政務の話をするから大丈夫だ。気持ちだけ受け取っとく。お前は家康にしっかり教えてもらえ。」
ニカッと笑って、政宗は手を軽く上げ、部屋を出ていった。
「(大丈夫かな…でも大したことないって言ってたし、軽い怪我なら政宗でも出来るよね。)
政宗が出ていったあとも、襖の方を見ていると
「……陽菜…」
家康から声がかかる。