第24章 近くて遠い恋《10》
襖に手をかけようとしたとき
スッ……
「!?」
触れる前に襖が開いて、目の前が山吹色いっぱいになった。
ビックリして顔を上げると
息を切らせた家康の姿
「陽菜…ごめん。待たせて……」
「あ…ううん!えと…おかえりなさい…」
「…………ただいま…」
バツが悪そうに、顔を逸らして、謝罪と挨拶をした家康。
家康が部屋に入れるように、体を横にずらす
「……どっか行くの?」
襖の前に居たからか、そう聞かれた。
「あ…お城に帰ろうかな。と思ってたの…
女中さんからお城に行ってる。って言われて、待ってたんだけど……家康が居ないのに、長居するのも失礼かなと思ったから…」
でも、家康が帰ってきたなら、ほんの少しでも一緒に勉強できるのかな………
それに、御守りも渡したいし……
「………陽菜の時間が大丈夫なら、少しでも教えるけど…」