第24章 近くて遠い恋《10》
―――――――――
――――
――
「……まだかなー…」
もう一刻以上は経ってる……
あのあと何度か女中さんが、新しいお茶を淹れて持ってきてくれたけど、彼女たちも忙しいのに、何度もお茶を淹れ直してもらうのは申し訳ない……
半刻すぎぐらいから、『あともう少しだけ…』を繰り返してたら、いつの間にか一刻も経っていた
「そろそろ帰った方がいいかな…」
少し開いていた障子窓の方を見ると、だんだん、雲行きが怪しくなっていた。
「(今なら、濡れずにすむかもしれないし…)」
借りていた本も読みきったし、流石に主人がいない部屋に、長居できない…
借りていた本を文机の上に置き、その横にお姉ちゃんに渡された風呂敷包みも置き
―――――
『家康さんのとこに行くんでしょ?なら、この羽織渡しといてくれる?この前の戦の時に着てたやつの、修繕が終わったから』
―――――
御守りも置こうかと思ったけど、これはお礼だから直接渡したい……
御守りは懐にしまい、部屋を出ようとした。