第24章 近くて遠い恋《10》
翌日の昼過ぎ、私は家康の御殿に居た。
だが、家康は不在。
なんでも、昨日の夜に光秀さんから、明日(すなわち今日)の朝に城に来るよう言われたみたい。
「(急な軍議でも入ったのかな?)」
今日なら時間を作れると言われたけど、軍議の内容によっては、それについての対応とかで、さらに軍議が長引くのでは?
そしたら、もっと忙しくなるだろうから、私との勉強は本当にいつでもいいものだし、無理して時間を作ってもらうのも悪い気がする……
しかも、主人の居ない部屋で、どう時間を潰していいかもわからない……
「(女中さんは、すぐ帰ってくると思います。って言ってたけど…)」
ある程度待って、帰ってくる様子がなかったら、女中さんに帰ること伝えて、お城に帰ろう。
以前の勉強のときに借りていた薬草の本。
ずっと借りたままだから、今日返そうと思って持ってきていた。
今はこの本読んで、時間潰そう……
そう思って、本を開いた