第21章 近くて遠い恋《8》
「…………」
「…佐助くん、もしかして…信長様達の敵…なの…?」
「………」
「…佐助くん…」
「…黙っていてすまない。俺の主君は上杉謙信様なんだ…」
4年前に謙信様の命を助けてから、謙信様に遣えていることを打ち明けてくれた。
「情報収集で安土に潜り込んでいるけど、香菜さんと陽菜さんから、情報を盗もうなんて思ったことは一度もない。二人に会うときは、忍ではなくただの友人として会いに来ているから…」
「…そっか…確かに敵側の忍だなんて、なかなか言えないもんね。」
「言いづらいこと話してくれてありがとう。」
「いや。俺の方こそ黙っていてごめん。」
「ううん。それより用があって、ここに来たんじゃないの?」
「あぁ、そうなんだ。君たち二人がタイムスリップして一月経って、あと二月で帰れる。」
あ………
帰れる…………
あと、二月で……………
…家康とさよならする……
ドクン……………