第21章 近くて遠い恋《8》
なぜ、苦手な裁縫をしているかというと……
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『家康さんへのお礼?』
『うん。薬学教えてくれたのと、この前の看病をしてくれたお礼。何かしたいんだけど何がいいかな…?』
『うーん……何か好きなものとか作ってあげるのは?』
『好きな食べ物とか知らなくて…昨日の宴では、家康の御膳のお皿はほとんど真っ赤だったけど…』
『そう…うーん……御守りは?』
『御守り?なんか重くない…?』
『このご時世なら有りじゃない?陽菜も御守り貰ったら嬉しくない?』
『そりゃあ、家康から貰ったら嬉しいけど…』
『へ?』
『!?いや!嬉しい!気にかけてもらってる感じがして!』
『…じゃあ、御守り作ってみる?まっすぐ縫うだけだから簡単だし…』
『うん!そうする!』
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という経緯で苦手な裁縫をしている