第21章 近くて遠い恋《8》
昨日、家康と薬学の勉強の約束をして、私は朝からご機嫌だった
のだが……………
「っ痛!はぁ…またやっちゃった……」
落ち込んでいた……
「また刺したの?」
「うん…なんでお姉ちゃんは刺さらないの…」
「まぁ、好きなことだし…陽菜とは歴が違うし…」
「…そうだよね…」
と、左手の人差し指を口に数秒くわえ、すぐに離した
「ちょっと休憩する?慣れないことして疲れたでしょ」
「うん…」
持っていたものを、文机の上に置き、軽く伸びをする。
「……にしても、陽菜…不器用だね…」
「う…自覚してるもん……」
「包帯巻くのは上手なのに…あと料理も…」
「細かい作業をやり続けるのは苦手なの……」
「はいはい。お茶淹れるから、ちょっと休憩しよ?」
お姉ちゃんも持っていたものを、丁寧に置いて片付け、お茶の用意をしてくれた。
お姉ちゃんが用意している間、それぞれ置いたものをチラリと見比べた
お姉ちゃんが綺麗に修繕した羽織と、
自分が縫ったガタガタに歪んだ御守り
あまりの出来の差にため息をはいた