第3章 動き始めた恋心〈1〉
戦国時代にタイムスリップして10日。
最初はどうなるかと思ったが、なんとか無事に過ごしている。
お姉ちゃんの手当てが終わってすぐに、本能寺跡地で出会っていた男性『佐助くん』が安土城の天井からやって来た。
どうやら彼も、戦国時代にタイムスリップしていたらしい。
といっても彼は私達より4年前にタイムスリップしていて、タイムスリップ時に出てくるワームホールの研究をしながら、私達のことも探してくれていたみたい。
現代では大学院生で、こちらの時代では忍をしている。
『こんな時代だし手に職をつけといた方がいいと思って忍になったんだ』と言っていた。
適応能力がすごすぎる
そして彼は嬉しいことに
『3ヶ月後に現代に帰れる。』
とまで言っていた。
それを聞いた私達は喜んだ。
『帰れるまでは安土城でおとなしく過ごしている方がいい。この時代は危険が多いから』
と私達はその言葉に頷き、3ヶ月後にに三人で現代に一緒に帰ることを約束し
『たまに様子を見に来るよ』
と言って佐助くんは帰っていった。
佐助くんが帰ったあと、信長様に呼ばれて広間に行った私達は信長様から
『天下統一を成し遂げる為の験担ぎでここに住め』
と言われた。
佐助くんの言葉もあるし、住むことは納得した。
『表向きはどこぞの姫として扱ってやる。化粧でも花札でも、好きなことをしろ』
と言われ、さすがに衣食住をお世話になるのに、遊んでばかりは出来ないことを伝えると
『変わったやつらだ。では貴様ら二人に織田軍の世話役を命ずる』と言われた。
ちなみに《どこぞの姫》は《織田家ゆかりの姫》にしてくれたみたい
こうして戦国時代で私達は《お守り代りで、織田家ゆかりの姫で、織田軍の世話役》になった。