第20章 近くて遠い恋《7》家康side
「え?あれ?何で家康が持って……」
自分の体をペタペタ触りながら、無いことを自覚した陽菜
「やっぱり。陽菜が座ってたところに転がってたから…」
はい。と手のひらにコロンと置いた。
「ありがとう…わざわざ持ってきてくれて…」
「別に…外の空気吸おうと思ったついでだから。」
空気のほうがついでだけど……
よくもこう、ほいほい天邪鬼な台詞が出てくるな……
自分で自分が嫌になる…
「それでも、ありがとう…」
笑顔で陽菜はお礼を言った。
陽菜の笑顔が、自分に向けられてるだけで、広間でいらいらしてた気持ちなんかどっかにいった。
「(今なら言えるかも……)」
「っ…あのさ……」
「?なに?」
「…まだ、する気ある?薬学の勉強…」