第20章 近くて遠い恋《7》家康side
後悔しても、もう遅い
俺は家臣と少し話し、酒を飲んだ。
家臣も戻り、ふと、陽菜が座っていたところを見ると
何か転がっていた。
金米糖入りの小瓶
さっき信長様に褒美で貰ったやつか
届けに……いや、信長様に挨拶したぐらいだ。
病み上がりで疲れたんだろう。
部屋でもう休んでる?
今行ったらまだ、間に合うか…
香菜に渡したら確実だけど……
…………………
………
「(寝てたら香菜に渡す…)」
少しでも陽菜と話せることを期待して家康は広間を出た。
広間を出て、陽菜の部屋に向かって歩いていると、膝を抱えて廊下に座り、月を見上げている陽菜の姿が見えた。
月明かりに照らされた陽菜の顔は
とても綺麗で
でも儚げで
なんだか幻想的だった…
すぐに用事を思いだし
「何してんの?」
声をかけると
「え?家康?」
陽菜はゆっくりと振り向いた