第1章 小さな恋心
────俺の彼女さ・・・
────最近指輪を見に行ってるんだよね・・・
────早く結婚したいんだよ・・・
彼が話していた彼女のこと。仲良くなって好きだと気づいて、そこからは痛む胸を無理矢理隠して彼の会話を聞いていた。涙と共にこの気持ちも流れて綺麗になくなってしまえばいいのにって何度も思った。けれど、彼の姿や笑顔を見ると気持ちはふわりと浮上して、好きだなと自覚する。声を聞けばドキドキして姿を見れば目で追ってしまう。
(叶うことなんてないのに・・・)
進むことない関係に、職場の関係でしかないのに。目頭が熱くなって深い息を漏らす。
(なんで彼を好きになったの?)