第1章 小さな恋心
微かにドキンと心臓が鳴った。それに首を傾げながら気にしないようにする。
「ありがとうございます」
「ありがとうございました」
丁寧な対応で凄く良かった。初めて見る人だけど慣れたような動きだったから会わなかっただけで随分前からいたのかもしれない。
とても優しそうな雰囲気だったなと思いながら、今度またいたら並んでみようと思う。
(さっ、もう帰ろう)
買った調味料が少し重い。駐車場まで距離が少しあるから腕が重くなりそう。袋を持ち直して扉を出ようとした時遠くから私を呼ぶ声がした。
「一瀬さーーん!」
「っ・・・え?」
結構大きめな声にビクリとしながら振り返れば一緒に働く大宮さんが走ってくるのが見えた。どうしたんだろう?と思いながら走ってくる大宮さんの所に方向転換。
「大宮さん、どうかしたんですか?」
「はぁ〜一瀬さんいて良かった!実は資材管理の場所が分からないところがあって聞きたかったの!」
「あぁ〜なるほど!ちなみに、どの資材ですか??」
「商品を入れる袋と、ゴミ袋に使う袋なんだけど・・・」
「あ、それはですね私たちの作業場じゃなくて別部所の場所にあるんですよー」
「あ!そうなの!?」
「はい、一緒に行きましょうか」
どうりで分からない訳だと、苦笑いを浮かべる大宮さんに私は小さく笑って、一緒にお店の裏に行く。そういえばこっち側の資材の説明してなかったなぁと思いながら扉を押した。
「えーと、商品を入れる袋はこっちですね。ゴミを入れる袋は・・・」
在庫があればいいけど、もしなければ事務所まで行かなければならないから。棚を覗いてみれば在庫が沢山あった。
「たくさんありました、ここの棚に。もし欲しくなった時ここに取りに来てくださいね」
「はい!分かりましたー良かった、一瀬さんがいて〜」
「あ、そうでした今日は最後一人でしたよね」
「そうなんですよ〜もう少しで終わりなんですけど今日はお客さん多いですよね?」
「んー、そうですね多いかもしれません大変でしたよね、大丈夫でしたか?」