【跡部】All′s fair in Love&War
第9章 carnival night!
名前を呼ばれたのを引き金のように動きを早めて、途端、目の前がパチパチとスパークするような感覚と吐精感。
ゴムの中に欲を吐き出して、そのまま守河の上に倒れ込む。
「守河…重くない?」
「はぁっ…うん、だいじょうぶ、」
少し舌っ足らずな感じで、掠れた声を出す守河。
こんな可愛い守河を、俺しか知らない優越感。守河の中から自身を引き抜くと、一緒にたらり、と血が流れた。その事がまた誇らしいようで、哀しくもあった。
「ジロちゃん、お疲れ様っ」
「はは、何それー。ムードも何も無いしー」
もうすっかりいつも通りに戻っている守河。いつもと違うのは、服が乱れている事くらい。そして俺は、明日からもまた、何も変わらないのだろうとため息を付く。
「ね、またしよーね」
「…え!?」
「え?しないの?だって、他の女子となんか絶対して欲しくないんだもの」
首を傾げる守河。俺も14歳の男子だから、そんなお誘い断れるはずもない。否定も肯定も出来ないままでいると、守河がふわり、と笑った。最中の表情のように色めいていて、思わず俺まで赤くなる。
「こんな事するの、ジロちゃんだけだよ」
もうだめだ、完璧に降参だ。
たとえ一生結婚出来ないとしても、俺には守河しかいない。観念して目を閉じると、守河がキスをくれた。順序が違うね、と苦笑すると、守河はまた笑ってくれたのだった。