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【跡部】All′s fair in Love&War

第37章 (閑話)戦いを挑むその前に




それからは、夏休みにも関わらず忙しい日々が続いた。毎日真面目に学校に通って、全国出場が決まった皆をサポートする日々。

その間を縫って二度、面接の機会が設けられた。部活を抜けるね、と声をかけた時は訝しげな顔をされたけれど、榊監督に呼ばれていると言えばそれ以上は聞かれなかった。

呼ばれている、その内容を誰にも告げる事は出来ないまま。そして運命の全国大会、その直後に、我が家に仰々しい封筒が書留で届いた。



期待に満ちた両親の目、その前で封筒を開ける。大会を経て盛り上がったままの私の気持ちは、皆と一つになっている私の気持ちは、既に来年に向いていた。留学の事など、忘却の彼方だったのが正直な所。でも、応援してくれていた両親にはそんな事、言えるはずも無い。

ゆっくりと封筒から取り出した一枚目に、大きく書かれた合格、の文字。何も言えない私が、感動しきっているのだろうと信じて疑わない両親。面接で、私学に通わせてくれている親にこれ以上負担を掛けたくない、と言った気持ちは、確かに本当だったのに。


封筒を抱えて部屋に戻る。デスクに飾った、皆の集合写真。涙目のメンバーの中、無理やり作った笑顔の私と、真っ直ぐにカメラを見る跡部。隣同士で写っている、この位置が当たり前のようになっていた。離れる事になるなんて、思いもよらなかった。自分の選択を軽く考え過ぎていた、監督の言った通りだった。


今日から、部活は三日間の休みだ。茉奈莉ちゃんも旅行に行くと言っていたから、誰にも会えない――会ったところで、誰に相談する事も出来ないのだろう、けれど。

あぁ、本当に自分が嫌になる――行くと決めても、行かないと決めても、きっとこの選択を、また私は後悔するだろう。


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