【跡部】All′s fair in Love&War
第28章 はじまりのつづき(前編)
――付いてくるな、と雌猫共に言い放ち教室を出る。やはり、彼女の表情、その真意が気になった。直接聞けばいいだけの話なのに、何故かそれが躊躇われ、声をかけることすら出来ていない。
教室を出てきたはいいが、行く宛も無かった。俺は、彼女の事を何も知らない。なら、何故こんなに執着するのか?その答えも、考えても出てきそうになかった。
ジローの教室にでも行ってみるか、と向かう途中、渡り廊下のテラスで、松元の姿を見かけた。
一緒にいる女には見覚えがあった――確か入学式の時一緒に居た、あいつの友人。そしてジローと同じクラスで、すっげーすっげー美人がいるんだ!!なんて騒いでいた相手だったか…確かに美人だとは思う、が、タイプでは無いな、俺様なら――そこまで思考を巡らせた所で視線を戻し、また歩き出す。
無意識の内に誰を引き合いに出そうとしたか、自分でもう気付いていた。