【跡部】All′s fair in Love&War
第3章 君は美しい僕の女王
それでも、いつか、なーんて。
帰り道の公園は段々と薄暗く、空気が橙に染まっていく。こんな時間に俺はと言うと、松元を家まで送っていく守河を家まで送るため、ただひたすらに待っていた。
「千花ちゃん一人で帰るなんて、危ないじゃない?」
「でも、茉奈莉ちゃんが最後一人になっちゃうよ!」
部活が久しぶりに長引き、最後に残ったあとべと、寝ていた俺。そして片付けをしてくれていた守河と松元。いつもなら跡部が車に乗っけてってくれたりするんだけど、この日は残念ながらカントクに呼び出しを食らっていた。
「やだ、私なら大丈夫よ!だって、ねぇ?ジロちゃん」
守河がちら、と俺を見て微笑む。いつもの事だけれど、それだけでもう、なんでもできそうな気になってくるから不思議なものだ。
「最後は俺が守河を送っていくしー、大丈夫だよ、松元」
――じゃあ皆で一緒に帰ればいいんじゃ?そうとでも言いたげな松元の言葉を、守河のふかーい笑みが遮った。
「さーさー、跡部という邪魔者もいない事だし!いきましょー千花ちゃんっ」
文字にしたらハートがついてそうな浮かれた声で、松元の背を押し歩き出す守河。そしてそれについていく俺。
「邪魔者って、おい…」
可哀想な跡部の声はドアの閉まる音でかき消された。だいじょーぶ、安心してよ。松元のこともちゃんと送ってくからさ。