【跡部】All′s fair in Love&War
第2章 ジェニーはご機嫌ななめ
暫く話してから松元と連れ立って部室を出ると、丁度跡部がこちらに向かって歩いてくる所だった。ほら、と松元の肩を押す俺をちらっと睨んでくる――そんな、俺にまで敵意向けなくてもさ?思わず笑うと、流石の跡部もバツの悪そうな表情を浮かべた。
「跡部」
「…あー、さっきは…」
「跡部が、来てよ」
「…アーン?」
松元はじっと跡部を見つめて、俺が教えた魔法の呪文を口にする。――ただ繰り返すだけ、跡部が何て返してきてもめげずに言い続けてね?魔法の呪文だから、と。
「買い出し、着いてきてよ」
「…なんで俺様が」
「ついてきて」
この期に及んで素直じゃないなー、と跡部に向かって舌を出す。俺の意図が分かったのか跡部がくしゃりと頭をかき、小さくわかった、と応えたのを見届けて、俺もやっとコートに向かう。――二人ともさ、照れて俯いてる場合じゃないからね。お互いの顔見て、何か気付かないもんなの?
――魔法の呪文?
――そう、松元は繰り返すだけでいいからさー!
跡部が素直になるための魔法の呪文だよ。
ついでに、松元もさ。