【跡部】All′s fair in Love&War
第19章 はじまりのおわり (後編)
はぁ、と盛大なため息をついて。もう入学から一週間程経った、今日も私は一人ぼっちだ。気付けばいつの間にか出来上がっていた仲良しグループの何処にも馴染めず――先程寂しくなって短い休み時間に茉奈莉ちゃんに会いに行ってみるも、男子生徒と仲良さげに話していて声もかけられなかった。
小学校の時は友達付き合いで悩んだことなんか無かった。いつも周りに男女問わず沢山の人がいて、その中には茉奈莉ちゃんもいた。なのに、中学生だからだろうか、氷帝だからだろうか?何かが違う気がして、自分らしく振る舞えない。
特に、男女関係はことA組に置いては異質だった。跡部、景吾。入学式で代表の挨拶をしていた彼は、既に取り巻きの様なものが出来ていた。女子生徒達がずらずらと付き従い、媚び諂う。彼はそれを侍らすでも無く、あしらうでもなく、適当に対応したり無視したり、おざなりにしているようなのだけど、誰も梱もしない様子で、休み時間の度に人垣が出来る。
「英語の授業は、凄かったのにな…」
初めての英語の授業。中学一年生とは思えない、洋画で聞くような淀みない発音に嫉妬めいた感動を覚えた。先生曰く、彼はイギリスからの帰国子女だと言う。
初めて家族で行った海外旅行以来、私は英語の虜だった。小学生ながら洋画を英語版で見て、簡単な洋書を読んで、大体は理解している自信があったし、私立中学受験をして、より勉強したいという裏打ちにもなった。帰国子女と比べるなんて、馬鹿げているけれど、本場で学んできたというその環境が羨ましかった。