【跡部】All′s fair in Love&War
第18章 はじまりのおわり (前編)
はぁ、と盛大なため息をついて。私は茉奈莉ちゃんの家への道を急いでいた。今日は中学校の入学式だった。小学校までは普通の公立校へ通っていたけど、中学校からは私立の氷帝学園に通学することになっていた――
私立に通わなければならない茉奈莉ちゃんと、「一緒の学校に通いたい」と言われ。両親に聞いてみると意外とすんなりOKが出て――勿論、最もらしく英語を頑張りたいの、とは言ったが――受験したら意外にも合格を勝ち取れて、あっという間に中学生に。
トントン拍子に変わっていく環境に取り残されそうになりながらも、茉奈莉ちゃんがいれば万事大丈夫だろう、と何処か他人事のように考えていたのだ。
「いくわよ、千花ちゃんっ…」
「うん、茉奈莉ちゃん、せーーーのっ」
掛け声と共に、クラスが書かれた紙を見せ合う。私の紙には、1-Aの文字。茉奈莉ちゃんの紙には――
「じぇ、じぇー…!!」
「1-Aと、Jだなんて…端と端じゃない!!」
がくり、と二人して肩を落とす。そして抗う術もなく教員の指示に従い、それぞれの列に並ぶ。恙無く式典が行われている間も、これからの生活への不安で上の空だった。校長の挨拶、生徒会長の挨拶、新入生代表の挨拶なんかをぼーっと聞き流す。初っ端で代表の挨拶を出来るなんて、さぞ凄い人なのだろう。
教室に行ったら初日らしく、一人ずつ自己紹介をさせられたが、緊張で前日全然寝れていなかったから、ついウトウトしてしまい。それを担任に目敏く指摘され、皆に笑われた。第一印象としては最悪だろう、とここでも暗雲立ち込める。
「松元 千花です、〇〇小学校から来ました。中学では英語を頑張りたいと思っています。宜しくお願いします」
当たり障り無く自己紹介を終えると、クスクスと言う笑い声と共に拍手が疎らに聞こえてくる。顔を挙げられず、すごすごと席に戻った。
その後は真面目に聞いていると、どうやら小学校からの内部進学組と私のような外部転入組に分かれるらしい。同じ小学校からは茉奈莉ちゃんだけだと知っている、それなのに、なんて運命の悪戯だろう――