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『イケメン戦国』〜生きる〜

第13章 ふれあい


なお目線

「私が嫁ぐ日は来ないよ。秀兄。ごめんね…」
私は頑張って笑った。

「なお…すまない」
秀兄は私をまた腕の中に閉じ込め、そっと頭にふれてゆっくりと撫でてくれる。

『言わなくても…分かってるよね。』
もう泣くことはないけれど、毎日楽しくなってきたけれど、時折思いだす事実。

【私は汚れてる】

秋野はそんな事言ったら
「そんなことありません!」
って怒るから、淋しそうな顔で怒るから…決して言えないけれど…。


『でも、その事実は時代を越えたとしても変わらない』


そのまま、私は何も言えないでいた。
少し私を抱きしめる腕に力が入る。


「なお。それでも、お前は俺の大事な妹だ。
祝言を挙げなきゃ。ずっと側にいれば良い」
秀兄は優しく囁いてくれた。

「うん。ありがとう秀兄」
私は身体を離すとしっかりと笑って秀兄を見た。

「…いつまでそうしてるの」

「えっ?あっ。家康、どうしたの?」
突然降ってきた声にびっくりすると、呆れ顔の家康が隣に立っていた。

「…どうしたのって…兄弟愛かも知れないけど…みんな見てるよ」
大きな溜息を一つつくと、目線を外に向けながら呟く。

私が目線を追って周りを見ると、遠巻きに子ども達が眺めてる。

「あっ、えっ。秀兄。ごめん」
私は慌てて身体を離す。

「おっ。おう。じゃあ。またな」
秀兄も慌てた様子で立ち上がりその場を去っていく。

『恥ずかしい』
私は真っ赤であろう顔をパタパタと手であおぐ。

「…政宗さんが甘味を作ってくれてるから…」
そう言うと

「何で俺が呼びに行かなきゃならないの…」
とブツブツ言いながら家康は去っていく。

「みんな。甘味があるって、食べに行こう!」
私はその場を崩すように、大声を出してみんなを呼んだ。

「なお様。大丈夫ですか?」
後ろから声がかかる。

「うん。大丈夫だよ秋野」
そう言いながらも、私は秋野にキュッとしがみつく。

「秋野はいつも側におりますから…」
いつも言ってくれるその言葉が、私の心に染み渡る。

「分かってる。ありがとう」
私は顔をあげ笑った。

「おーい!なお。なくなるぞ〜」
遠くから政宗が声をあげる。

「分かった!」
そう返事をするとそっと秋野の手にふれる。
秋野は微笑んでそっと手を握ってくれた。
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