第13章 ふれあい
第三者目線
「しかし…人が増えたなぁ〜」
秀吉は、外で遊ぶ子どもたちを見ながら呟く。
「最初は、遠慮して連れてこれない人もいたみたいで…」
隣に座っていたなおは複雑な笑みをのぞかせる。
「まぁ、織田家ゆかりの姫が面倒見るって事だからな」
『普通はそんな事する姫はいないからな…』
秀吉は心の中でひとりごちる。
「でも、梓や春がみんなを誘ってくれてね。面倒も見てくれるから、助かっちゃうの。けど…」
そう言いながらも浮かない表情のなおがいる。
「ん?どうした」
秀吉はなおの頭に手をやると、先を促した。
「うん。あのね。私が7才や9才の頃って、学校って読み書きとか習う場所があってね。
そこに毎日通うの。
友だちもいて本当に自由に遊んでた。
ご飯も洗濯も何もかもお母さんがやってくれて、何もしてなかった。
でも、梓も春も自分で何でも出来て…他の子の面倒も見て、凄いなぁ〜って思う反面、もっと自由にしてあげたいって思うの…。」
なおは「偉そうだけどね」と付け加えて苦笑いする。
「そうだな…なお。ここの女達が、幾つで祝言を挙げるか知ってるか?」
秀吉は少し考えてなおに問う。
「わからない」
「早ければ15前から嫁ぐ」
「えっ?!」
なおはびっくりして目を見開く。
「まぁ、15才過ぎからが多いかも知れないが…それくらいすぐに嫁ぐんだ。
だから、7才や9才でもあれだけの事が出来なきゃならない。」
「でも…」
なおは未来とのあまりの違いに愕然とする。
「まぁでも、ここでは自由でも良いんじゃないか?なおが自由にしてやれば良い」
秀吉はなおに優しく微笑む。
「そう、だよね…。たくさん遊んであげるくらいしか出来ないけど…」
なおは真剣な表情で子ども達を見つめた。
「なおが嫁ぐ日を考えると…嫌だな」
ぼそっと秀吉は呟くと、なおを抱きしめる。
「な、何言ってるの。ないないないない!」
「それはそれで、なんか嫌だな」
その様子にクスクスと笑う。
「もう!何言ってるの!秀兄…」
そのまま、黙り込むなおを不思議に思い身体を離す。
「なお?」
秀吉は顔を覗き込むと複雑な表情のなおがいた。