第13章 ふれあい
なお目線
「おーい。昼餉出来たぞ〜」
「政宗!ありがとう。みんな手を洗ってご飯だよ」
声をかけるとみんな駆け寄って来て、順番に手を洗う。
「政宗。忙しいのにありがとう。政宗のご飯美味しいから、楽しみ」
「これくらい、いくらでもやってやるよ。お前のその笑顔が見れるならな」
政宗は私の頭をポンポン叩きながら、いつもの様に笑ってくれる。
「ありがとう」
私は笑みで返す。
「…俺の時にはドキドキしないのにな…」
「うん?何か言った?」
小さな声でぼそぼそと呟く政宗に聞く。
「いや、何でもない。ほら冷めるぞ」
政宗は私の背を押すと、部屋へと一緒に入っていった。
「なお様の隣がいい!」
「私も!」
「ぼくも!」
『うーん。どうしよう』
わたしが部屋に入ると、みんなが私の隣に座りたくて言い合いになっていた。
「残念だなぁ。なおの隣は俺だ」
そう言うと政宗は私の隣に座る。
「えっ?」
唖然として見ていると
「お殿様なら仕方ないね…」
みんながあっさりと決められた席に座る。
「何ボーとしてんだ?食うぞ」
何もなかった様に、みんなは食べ始めた。
『こんなもんなのかなぁ?』
不思議に思いながら食べ始める。
「ん?どうした?」
「いや、何であっさりと譲ったのかなぁって…」
「そりゃあ、『俺はなおが気に入ってるから、応援しろよ』って言っておいたから」
政宗はニヤリと笑う。
「ぶっっ。」
私は飲んでた汁物を飛ばしそうになる。
「な、な、なんでそんな事…」
「ケンカになるより良いだろ。知恵だ知恵!」
「そうだけど…そんな嘘言っちゃダメだよ。これから相談して決める様にするね。ありがとう政宗」
笑顔で返すと、政宗は一瞬真面目な表情になる。
でも、それは本当に一瞬で、すぐに笑顔に戻る。
「まぁ、食え。本当に冷めちまう」
「そうだね。今度お料理も教えてもらおうかな。そしたら、政宗がお仕事できるし…」
私は本当に申し訳なくて政宗に告げると
「おいおい。そんな寂しいこと言うなよ。毎日じゃねーんだし。お前が頑張ってるんだ。応援のつもりで受け取っとけ」
優しく頭を撫でてくれる。
「本当にありがとう政宗」
「おう。食べたらしばらく一緒に遊べるからな」
その政宗の声に、子どもたちが歓声を上げた。