第13章 ふれあい
なお目線
「「「なお姫さま」」」
着替えとご飯を軽く済ませ部屋へと向かう。
襖を開けるとたくさんの可愛い声に迎えられた。
けど、一定の距離を保って近付こうとしない子どもたち。
「おいで」
声をかけてもみんなもぞもぞとしている。
「どうしたの?」
「だって…なお様はお姫様だから…」
1人の子がポツリと呟く。
『そっか…』
少し寂しい気持ちが湧いてくる。
「なお様はここにいる時は、姫様ではないのよ。みんなのお友だち。だから、一緒に遊んでも大丈夫よ」
「秋野…」
「いいの…本当に?」
1人の女の子が私を見上げ聞いてくる。
「いいよ。おいで」
しゃがんで両手を広げると、笑顔で駆け寄って来て私にギュッと抱きついた。
「あ〜。柚!ずる〜い!」
それをきっかけに、次から次へと子どもたちはやって来て、私はあっという間に子どもたちに潰されてしまった。
「ぐ…ぐるしい」
「ほらほら、なお様が…」
秋野は慌てて私からみんなを引き剥がしてくれる。
「「「なおさま、ごめんなさい」」」
「うん。いいよ。」
私は着物を整え立ち上がる。
今日来てくれたのは5人。
「お名前教えてくれる?」
私はみんなを見つめる。
「はい!梓です。9才です。そしてこっちが妹の柚5才です。」
「柚です!ごさいです!」
「春です。7才です。」
「たけまる!よんさい!」
「ゆき!ちゃんちゃい!」
「なおです。よろしくね。」
『みんなきちんとお名前言えて偉いな』
久しぶりの子どもたちとのふれあいに、ウキウキする。
「今日はお天気も良いから、お外で遊ぼうか?」
「「「はい」」」
可愛い返事に癒されながら、みんなで外へと出ることにした。