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『イケメン戦国』〜生きる〜

第12章 初恋


第三者目線

夜になり信長は夕餉にも出てこず寝ていたなおが気になり、部屋へと向かった。

だが、部屋の中になおの姿はない。

「キイ…キイ」
微かな音がする。

『もしや…』
聞き覚えのある音に信長は更に歩を進めた。

『また、ここか』
そこには、あの日と同じ様にブランコに乗るなおの姿がある。
そばへ寄っていくと、なおはブランコの上に立ち上がる。
何度か強く漕ぎなおはブランコから勢いをつけて飛び出す。

『危ない!』
バランスが崩れ倒れそうななおの身体を間一髪抱きとめた。

「貴様は何をしている」
なおは信長の顔を見ると身体を離そうとする。
それを許さずもう一度尋ねる。

「何をしている…と言ってる」

「あっ…あの、ブランコから飛んで…」

「そんな事は見てたから知っている。何故こんな時間にここにいる」

「…早く寝ちゃったから、目が覚めてしまって…ひでに、秀吉さんがブランコが出来たと言ってたから…つい…」
なおはボソボソと呟く。

「…そんなにあれが好きか?」

「楽しいです。ふわふわして…信長様も乗ったら分かります」
顔を上げ嬉しそうな顔をするなお。

『そこまで言うのならやってみるか…』
信長はなおの手を引きブランコへ向かう。

「どうするのだ」

「あ、あの、まずここに腰掛けて…」
説明の通りに動くと、ブランコは揺ら揺らと動き出す。

『ほぉ。馬とも籠とも違い、面白い』
暫しその感覚を愉しんでいた。

「楽しい…ですか?」
隣に来てブランコを漕ぎ出すなお。
その微笑みを浮かべた顔がとても眩しくみえる。

「あぁ。不思議な感覚だな」
信長はまたなおの顔が微かに歪むのを見逃さなかった。

「また痛むのか」
信長はブランコから降り立つと、なおのブランコをそっと止め身体を抱えると、褥へと急いだ。

「眠れなくてもいい。休め」
褥にゆっくりと横たえ布団を掛け、瞼に手を置いた。

暫くするとなおはスウスウと寝息をたて始める。
それを確認するとそっと瞼に置いた手を離し、頭をそっと撫でる。

「早く良くなれ…」

信長は懐に手をやり、小さな小瓶を枕元へとそっと置くと、なおの部屋を後にした。

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