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『イケメン戦国』〜生きる〜

第10章 解き放たれる心


なお目線

「なお。手を洗ってこい」
そう言われて手がのりでベタベタだった事を思い出す。

「わぁ〜。今日は満月だ」
手を洗いながら空を見上げると綺麗な月が見えていた。

「なお。そんなに口開けても、月は食えねーぞ」
政宗が御膳を運んで廊下を通る。

「そんなに開いてないし、食べる気ないし…」

「すまん。すまん。ついお前の顔が可愛くて、意地悪言っちまったな」

「か…可愛いとか…」
私は顔を紅くなるのを掌でぱたぱた仰いでごまかす。

「しかし、本当に綺麗だな」

「うん」

「よし!今日は外で食うか?ちょっと待ってろ」
そう言うと政宗は広間にいるみんなに声をかける。

あっという間に広間の前の庭にゴザがひかれ、即席の広間が出来る。

「うわーすご〜い!ありがとう政宗!」

「お礼は」
政宗は私を横抱きにすると、そのまま席へと運んでくれる。
降ろしてくれる直前、額にキスが降ってくる。

「あっ」
私が何か言う前に

「こら!政宗!何やってる」
秀兄の怒鳴り声

「お礼もらっただけだろ〜って、なお?」
政宗は固まった私の顔を覗き込む。

「いや!見ないで!秋野」
私は騒ぎを聞きつけて近くに来ていた秋野に縋り付く。
顔が紅くなって、火照っているのがわかる。
見られるのが嫌で益々秋野の胸に顔を埋める。

「…なお様。政宗様。本日はなお様の側に近寄ることを禁じます」
そう淡々と告げている声が聞こえる。

「…わかった。ごめんな。なお」
少し淋しそうな声色。
それが何だか悪い気がして

「…いいよ。でも、もうやめてね。キスなんかされた事ないから…びっくりして、こちらこそごめんなさい」
私は、政宗を見るとそう告げた。

「…いや…でも、やっぱりなおは可愛いな」

「か…」
その言葉に、顔がまた火照る。

「政宗様!」
私をそっと抱き寄せながら、政宗を睨みつける秋野の顔が見えた。

「お前はこっちにこい!」
秀兄は政宗の襟首を掴んでズルズルと引きずって行く。

私から1番遠くの席に座らせると、秀兄は私の隣に戻って来た。

「お屋形様。お待たせいたしました」
そう信長様に声をかけると、即席の宴が始まった。




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