第10章 解き放たれる心
なお目線
「出来た〜〜〜!」
広い部屋の真ん中で両手を上げて寝転んだ!
今日は1日かけて保育室になる部屋の飾り付けをしていた。
和紙をたくさんもらって、絵を描いたり切ったり貼ったり、すぐにボロボロになるかもしれないけど、それでも最初は綺麗に!可愛く!
寝転んだまま部屋を眺めて、充実感でいっぱいになる。
『ブランコと滑り台。大きなお布団ももうすぐ揃うし…いつでも働ける。これで、少しは佐助兄に近づいたかな?私も頑張らなきゃな〜』
目をつぶってこれからどんな事をしようか?考えながら、気がつくと深い眠りに落ちていった。
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「…おい、なお」
遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。
「う〜ん。もう少し…」
まだ寝てたいと思うのにその声は段々大きくなる。
「こら!起きろ!夕餉の時間だぞ!」
「へっ?」
わたしはゆっくりと目を開ける。
さっきまで明るかった部屋は、すっかり暗くなっていた。
「お前は一体いつから寝てたんだ?」
秀兄は呆れたように言いながら、身体を起こしてくれる。
「うーん。わからない」
私は目をこすりながら起き上がった。
「あのな…必死になるのは良いが、まだ病み上がりだぞ。また、体調崩したらどうすんだ」
少し怒った様な顔をして私の顔を覗き込む。
「ごめんなさい」
「まぁいい…ほら夕餉に行くぞ」
そういって私の手を引いてくれる。
「ぶらんこだっけか?あれも出来た様だぞ」
「えっ!出来たの?!見に行きたい!」
私は秀兄の手を引っ張る。
「ダメだ。今日はもう遅い。明日にしろ」
「えーーー」
「そんなこと言ってもダメなものはダメだ」
そんな言い合いをしているうちに広間に着いた。