第9章 穏やかな日々
なお目線
あれから数日が経ち、私はやっと褥から出る許可を家康にもらった。
肩はまだ痛むけど、日常生活には支障はない。
「おはようございます」
そして今日からは、前の様に朝餉をみんなと一緒に取ることを許され、少し浮かれて広間へとやってきた。
「おう。おはよう。今日の調子はどうだ?」
「おはよう!秀兄。大丈夫だよ」
「そっか、元気になって良かったな!」
頭をポンポンと撫でてくれて、優しい笑顔を向けてくれる。
「ほら。またそこで止まるなよ!今日も俺様お手製の朝餉だぞ。冷める前に食え」
政宗がにかっと笑って私の手を引いていく。
「うん。ありがとう。」
「まだまだ、体力つけるためにも食わなきゃな。痩せすぎなんだよなおは」
そう言って脇腹を掴む。
「ひゃっ!もう!乙女のお腹に触らないで!」
「すまんすまん。ほら、食べろ」
政宗は全く悪びれる様子なく、私を席へと座らせる。
「…朝からうるさいですよ。ほら、なお薬。良くなったって油断しないでね。いい加減面倒だから…」
家康が今日の薬を渡して、いつ飲むのかも説明してくれる。
「ごめんなさい。早く良くなるね!家康も忙しいのに…」
「…それが仕事だから…とにかく食べなよ」
家康は席に戻るといつもの様に唐辛子をかける。
その量に唖然としていると、
「そんなに呆けてると、口の端から食べ物が落ちるぞなお」
光秀さんに声をかけられる。
「えっ。」
私は慌てて口元に手をやる。
「嘘だ。くくっ。面白いほど引っかかるな」
「もう!酷いです」
「光秀。からかうのはそこまでにしておけ。なお気にせず食べろ」
秀兄が声をかけてくれる。
「うん。ありがとう」
それから、皆と他愛もない話をしながら、朝のひと時を楽しんだ。