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『イケメン戦国』〜生きる〜

第7章 ぬくもり


なお目線

朝、目を覚ますと、そこに信長様の姿はなくて。
いつものように、秋野がそばにいた。

「夢だったのかな…」
そう呟くと

「どんな夢を見られたのですか」
秋野にそう尋ねられ、昨日の夜の話をする。

「それは夢ではありませんよ」
秋野はそう言うと

前回怪我の際も、今回も、夜には信長が介抱してくれていた事を話してくれた。

「何故?…あっ。そういえば、命を救ってくれた礼だって…信長様」

「そう、仰られたのですか?」

「うん。後、夜はそんなに眠れないから心配するなって…でも、元気になったら何かお礼をしなきゃね」

「そうですね。信長様も喜ばれると思いますよ」

『何をしようかなぁ〜』
と考えていると外から声がかかる。

「おい。起きてるか?」

「政宗さん、おはようございます。」
私が身を起こそうとすると、政宗は御膳を横に置き、そっと肩に手を添え起こしてくれる。

「ありがとうございます」

「おおっ。あの、自然にやっちまったけど、お前大丈夫か?」

「えっ?」

「やっ、ほら男に触れられるの…」

もう既に手は離れていたが、そういえば…。

「…何でだろ?」

「わかんねぇのか?わかんないなら、そのままで良いんじゃないか?俺としては拒絶されるより良いからなっ」
そう言って政宗さんはにかっと笑う。

「食欲はあるか?昨日も少し熱が出たって聞いたが…」

「はい。少しなら…」

「今日はおじやだ。味も少し濃くしてあるから、少しは食べやすと思うぞ」
そう言いながら、政宗さんは匙に掬ったおじやを、ふうふうと冷ますと

「ほらっ」
と私の口元に運ぶ。

「へっ?…政宗さん。私自分で…」
匙を持とうと手を伸ばすと痛みが走る。

「ほら、利き腕を痛めたんだから、大人しく言う事聞いとけよ。あっ、後、政宗なま、さ、む、ね。敬語もなし!」
そう高らかに宣言する様に笑顔で言う政宗さんの様子が可笑しくて、つい笑ってしまう。

「良い笑顔だ。可愛いなぁ〜」
私は恥ずかしさで、真っ赤になって下を向く。

政宗は空いた手で私の頭をポンと叩く。

それは一瞬だったけど、優しい手で、気を使ってくれているのが凄くわかって、胸の中がふわっとぬくもりに包まれる。

「よし!ほら食え!」

また、強引に食べさせようと匙を持ってくる、政宗に戸惑っていると…。







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