第1章 〜プロローグ〜
佐助目線
大学院へはとりあえず担当教授に電話をかけた。
俺の生い立ちも知ってる教授は、あっさりと数日間の休みをくれた。
そのまま、駅へと走る。
みんなが起きる前に出発したのなら、もう京都には着いてるはず。
昔聞いた話を必死に思い出しながら、電車にかけ乗った。
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『最後に行ったのは本能寺跡だったんだって、私は記憶にないけどそこで私だけ見つかったって……。私が居なくなればよかったのにな〜。」
笑顔の筈なのに、眼の奥は淋しげな光があって、苦しくなった。
その気持ちまで思い出す。
見つかった後の話を、なおちゃんから聞いた時。
もう二度とそんな思いはさせないと、思っていたのに。
苦々しい想いを噛み締めながら、なかなか到着しないその地に苛立ちを感じていた。