第1章 〜プロローグ〜
佐助目線
『養護施設 愛の家』
そう書いてある建物の門をくぐり、声をかけた。
「綾さん!」
「佐助くん」
「何があったんですか⁉︎なおちゃんはどこに⁉︎」
玄関に座るよう促されたが、座る気にはならない。
すぐに探しに行けるよう、立ったまま話を続ける。
「手紙って…」
綾さんは黙ったまま、可愛い封筒に入った手紙を手渡す。
封の開いたそれをすぐに取り出し中を見る。
「!!まさか!そんな……」
「私も、様子がおかしい事には気がついていたの!でも、まさかこんな事が起こってたなんて!話を…早く話を聞いてあげてれば…」
綾さんは、そのまま座り込み泣き出してしまう。
「綾さんは悪くない…。」
そんな言葉しか出てこない。
暫くの沈黙の後、
「とにかく、俺はなおちゃん探して来ます。行き先のヒントはあるから、とりあえず今から行って来ます!」
「ヒント…どこに?」
そう問いかける綾さんに、昔を思い出しながら答える。
「京都」