第4章 一歩前へ
第三者目線
「何故!何故その様な事を…」
秀吉の予想通り、目の前には怒りを抑えられない秋野。
あれから、広間を出てすぐになおの部屋に来た。
少し遅めの朝餉を食べたなおは今寝ている。
先に秋野に話をと思い、場所を隣の部屋に移し話を始めた。
「『幸運を呼ぶ女』だから、などと言う理由で今のなお様を戦場には連れて行けません!2日前にあんな事があったばかりで何故!」
「…秋野。これは決定事項だ。お屋形様の事を分かっているお前には、どうしようもない事だとわかるだろう?」
「ですが!」
そう声を荒げるも、秋野にはそれが覆らない事は分かっていた。
分かっていても、この理不尽な要求を受け入れる事は難しかった。
「信長様と話をさせてください。」
秋野は意を決して告げた。
「それは…無理だ」
秀吉はそうとしか言えない。
「ですが…」
秋野が話を続けようとした時
「秋野」
なおが襖を開けて入って来た。
「「なお(様)」」
2人は頭の中でなおかどこまで話を聞いていたのか考えてしまい、次の言葉が出てこない。
その沈黙を破りなおは
「私も信長様と話がしたい」
今までで1番力の入った声で2人に告げた。