第4章 一歩前へ
第三者目線
軍議が終わる。
小国が謀反を起こそうとしている事が報告され、明後日には出立する事が決まった。
『お屋形様が出るまでもないが、生きている事を知らしめる為にも出て頂かなければ…』
秀吉が考えていると、信長が声をかける。
「彼奴の様子はどうだ?」
「はっ。先程目覚めましたが、あの時の事は覚えていない様です。体調は直ぐにでも戻るかと思います」
秀吉が答えると、それまで雑談していた周りも静かに聞いてる事がわかる。
「そうか…」
そう呟いたまま、暫し考え込む信長。
しかし、次に開いた口からは、とんでもない事が告げられる。
「お屋形様!」
そう言ったまま、後の言葉が続かない。
皆も二の句が告げれないまま、静まり返る。
「決定だ。秀吉。」
信長の言葉は覆らない。
秀吉は返事をする事しか出来なかった。
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「おい、秀吉…どうすんだよ」
政宗が問いかける。
「どうするもなにも…伝えに行かなきゃならないだろうな」
重い溜息がでる。
「馬も乗れねぇんだろ。乗せてやれねぇし…歩いて行かせる気かよ」
「…そんな事無理ですよ。あんなに弱いのに…足手まといにしかならない。手当てする人間増やして…俺の仕事が増えるだけだし…」
ブツブツと文句を言う政宗や家康。
「どのみち、男ばかりの所に1人でやる訳にはいかない。秋野に頼むしかないだろうな…」
そう言いながらも、きっと烈火の如く怒るであろう秋野を思うと、益々気が重くなる秀吉だった。