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『イケメン戦国』〜生きる〜

第34章 不安


信長目線

『こんな時にさえ、人の心配を…』
なおに悟られぬ様小さく息を吐く。

「大丈夫だ…ここに居ては益々身体が冷える…帰るぞ」
なおの手を取るとゆっくりと馬へと戻り、馬上へと担ぎ上げた。

止まない雨は勢いを増し、あっという間に身体を濡らしていく。
暫く進むが、先が見えない…。
ゴロゴロと遠くで雷鳴が聞こえ始めると共に、稲光が闇を仄かに照らす。

「何故だ…」
照らされた瞬間見つめた先には、そんなに広くなかったはずの野原が無限に広がっていた。

「なお…少し駆ける。つかまっていろ」
俺はそう声を掛け辛く馬を蹴る。

『何故だ…何故着かぬ』
行きの倍以上の距離を駆けているはずなのに…自身の感覚を疑うほど、どこまでも続く野原。

手綱を引き馬を止める。

「信長様?」
不安げな声色が聞こえる。

「大丈夫だ」
そう声をかけるが…何がどうなっているのか?全くわからない。

『どうなっているんだ…』
考え始めた時、遠くから蹄の音が聞こえてきた。

「なお…離すなよ」
俺は刀に手をかけ、なおを強く抱きしめる。

「何奴だ…」
近づいた奴に目を向け問いかける。


「信長様ですか?俺です。佐助です」


その声に刀から手を離し、一息つく。が…。




「何故…何故貴様がここにいる」





俺は駒が揃ってしまった事に、気がつき身構える。





ーーーピカッ!!




今まで遠くに見えていた雷が



駒を揃えた事を確認するかの様に



3人の姿を照らした。



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