第32章 繋ぐ
信長目線
「つっ…はぁ、はぁ…」
呆気なく果てた俺の欲を、なおは止める間も無く飲み込んだ。
「なお…なぜ…」
今度は俺が聞く。
「こんな事するの…信長様だけだって、知って欲しかったから…」
なおは身体を起こして、甘える様に俺の胸に飛び込んでくる。
「ごめんなさい…不安にさせて、佐助兄とは何もないから…私が好きなのは、愛してるのは…信長様。貴方だけ…」
胸にあたる微かな囁きが、耳ではなく胸に直接響いてくる様な感覚に陥いり、冷えた心に温もりが灯った気がした。
「なお…」
なおの身体を肩を掴んで起こすと顎をさらいキスをして、また腕の中に閉じ込める。
「…嫉妬、してくれたんですよね」
その言葉に返さずにいると、顔を上げたなおがふわりと笑う。
「嬉しい…」
なおのその一言に、不思議と気持ちが安らいでいく。
『この醜い気持ちさえ…受け止めてくれるのか』
愛おしさが溢れて、その顔に次々とキスを落としていく。
「…もう一度、愛させてくれ…。手荒な事をしてすまなかった。夫婦となって、初めての夜だ。
愛してる…なお」
「私も愛してます。どんな信長様も受け止めるから、ずっと側にいてください」
誘う様に閉じられた瞼にそっとキスを落とすと、ゆっくりと褥に押し倒す。
「なお…貴様の全てが愛おしい…。俺を狂わせるのは…お前だけだ」
唇にキスを落とすと、誘う様に口が開く。
舌を差し入れ口内を犯していくと、甘い声がその隙間からもれ…その声に煽られていく。
「のぶ、ながさ…ま。す、き」
笑顔のなおを優しく抱き締めて、幸せを感じながらその身体を開いていった。
……………………………………
陽の光に照らされているなおの顔を、飽きることなく見つめている。
「寝ている時は、幼な子の様だな」
小さく呟きその唇にキスをする。
昨日の不安が嘘の様に、気持ちは凪いでいる事がよく分かる。
「…んんっ」
小さく身じろぎをして、ゆっくりと目が開いていく。
その瞳が俺を捉えると、ふわりと笑う。
なおにまたキスをして、その身体を抱きしめる。
今ここにある幸せをかみしめながら…。