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『イケメン戦国』〜生きる〜

第30章 夢


第三者目線

甘えるように自分の胸に頭を預けるなおに、つと目をやると目を閉じ微笑む顔が見え、その顔に安心する自分がいることを、信長は感じていた。

『このまま眠ってしまいそうだな…』
朝餉にはまだ時間がある。
信長は、その頭にそっとキスをすると書簡に目を落とした。


朝日がすっかり登り天主に光が入ってくる。

「お屋形様」

「入れ」
朝餉の時間を伝えに秀吉がやってくる。

襖を開け中に入ると、なおを抱き政務をこなす信長の姿が見える。
それだけで、2人が落ち着いた事が分かり、秀吉は胸を撫で下ろす。

「朝餉の時刻ですが…本日は如何なさいますか?」

「なおは天主で摂らせる。沙耶と秋野を呼べ。俺は広間へ行く、そのまま軍議に入る」
書簡に目を落としたまま、信長は告げる。

「はっ」
秀吉は短く返事をし、天主を後にした。


秀吉は皆に信長の指示を伝えるよう、家臣に言付けると厨にいるであろう秋野の元へと向かう。

「毎日すまないな、政宗」
なおが帰って来てから、毎朝の食事だけでもと政宗は城の厨に足を運び、なおの為の食事を準備していた。

「これくらい、あいつの笑顔見る為なら…なんてことねーよ。俺の飯で子が育つと思ったら、何か嬉しいしな」
政宗は、器用な手さばきで野菜の下処理をしていく。

「2人は、如何だったんだ?」

「あぁ〜。お屋形様の膝の上で、ぐっすりだったよ」
秀吉は2人の様子を思い出し、微笑みながら告げた。

「そうか…まったく、最初からなおにはハラハラさせられ通しだな…」
政宗は苦笑いを浮かべる。

「本当に…今回こそ大丈夫ですよね」
2人が話してるのを聞き、側にきた秋野が話しかける。

「あぁ。大丈夫だろう…後は祝言と出産と…忙しくなるな。頼んだぞ!秋野」
秀吉は秋野の頭にポンと手を置き、それじゃあと厨を後にする。

「…秋野」
秀吉の後ろ姿を見送る秋野に、政宗は声をかける。

「はい。何でしょう?」
秋野は、何か手伝いかと思い、視線を調理を続ける政宗に向ける。

「俺が言う事ではないかもしれないけど…お前もそろそろ幸せになっても良いと思うぞ」
手元から目を離し秋野を見つめた。

「つっ…何のことでしょうか。私は今でも幸せです」

「そうか…」
政宗はそれ以上言う事もなく調理を続けた。





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